体がだるい、疲れやすい原因は甲状腺?ー橋本病の診断

「いつもしんどい」「疲れが取れない」「なんだか寒がり」「むくみが気になる」

こうした症状を単なる「体質」や「歳のせい」と捉えてしまいがちですが、その裏には橋本病(甲状腺機能低下症)が潜んでいる可能性があります。

このページでは橋本病に気づくきっかけになる情報を、私の体験を交えてお届けします。

主治医の先生にも監修いただきながら、みなさんの“気づき”や安心につながる情報をお届けします。

今回は、橋本病かどうかを調べるための“診断方法”についてお話しします。

他の記事で橋本病が気づきにくいと言うお話をしてきました。

ところが診断においては、血液検査をすれば比較的簡単にわかります。

問題なのは、多くの場合、健康診断の項目に甲状腺が含まれていないことです。

見落とされやすい理由が、ここにあります。

橋本病の診断

日本甲状腺学会の診断ガイドラインでは、以下を橋本病の診断基準としてコンセンサス(専門医の合意に基づく臨床診断基準)を出しています。

臨床所見びまん性甲状腺腫大(萎縮の場合もある)*バセドウ病を除く
検査所見1.抗甲状腺ペルオキシダーゼ抗体(TPOAb)陽性
2.抗サイログロブリン抗体(TgAb)陽性
3.細胞診でリンパ球浸潤を認める

上記のうち1つ以上を満たすもの。

ー日本甲状腺学会HPよりー

それぞれ解説していきます。

臨床所見

まず視診・触診で首元をみます。

橋本病になると、のどぼとけの下にある甲状腺が全体的に腫れて、首の前側がふっくらして見えることがあります。

ただし、目に見えないほどの軽い腫れも多く、自分では気づかないことも珍しくありません。

そして、まれに炎症が強くなって萎縮する人もいます。私の場合は後者でした。

エコーでは内部の荒れ具合がわかるため、橋本病の診断に役立ちます。

橋本病は自分の抗体が自分の甲状腺を攻撃するため、甲状腺をエコーでみると、表面が凸凹していて内部が粗い状態が映ります。

以下は私のエコー写真です。

エコー画面を見ながら先生が説明してくださり、「表面が凸凹していて内部が粗い状態、左側に甲状腺がんがあります。右側にも小さいがんがあります。」とおっしゃっていました。
(甲状腺がんのことは別の記事で書いていきます。)
※橋本病と甲状腺がんは別の疾患であり、すべての橋本病患者にがんが見つかるわけではありません。

血液検査

血液検査では、甲状腺ホルモン(FT3/FT4)と甲状腺刺激ホルモン(TSH)、そして自己抗体(抗サイログロブリン抗体、抗甲状腺ペルオキシダーゼ抗体)を調べます。

甲状腺ホルモン(FT3/FT4)甲状腺から分泌されるホルモン
低いと甲状腺機能低下症を疑う
甲状腺刺激ホルモン(TSH)脳下垂体から分泌されるホルモン
甲状腺ホルモンが不足すると値が高くなる
抗サイログロブリン抗体(TgAb)甲状腺で作られる「サイログロブリン」というタンパク質に対する抗体
抗ペルオキシダーゼ抗体(TPOAb)甲状腺ホルモンを作る「甲状腺ペルオキシダーゼ」という酵素に対する抗体

橋本病を疑う場合、上記の項目を検査しますが、甲状腺ホルモン(FT3/FT4)と甲状腺刺激ホルモン(TSH)が正常な場合もあります(特に初期の段階で)。

甲状腺ホルモン値が正常な初期段階では、自己抗体である抗甲状腺ペルオキシダーゼ抗体(TPOAb)または抗サイログロブリン抗体(TgAb)のいずれか一方でも高値であることが、診断の決定的な根拠となります。

ちなみに私の場合は、下記のような結果でした。

※同じ時期に2箇所の医療機関で検査した時の検査結果

甲状腺ホルモンと甲状腺刺激ホルモンは基準値内、甲状腺の自己抗体はどちらも基準値を大きく上回っていました。

細胞診検査でリンパ球浸潤を認める

甲状腺に細い針を刺して、細胞を採取し顕微鏡で観察する検査です。

橋本病では、免疫細胞(リンパ球)が甲状腺に入り込み炎症を起こすため、診断根拠の一つになります。

しかし、実際の臨床の現場では、橋本病の診断目的で細胞診をすることはほとんどありません。

血液検査やエコーで十分診断できるからです。

自己抗体の値が高い→自分の甲状腺を破壊している→エコーで破壊像が確認される

自己抗体が自己組織を攻撃した結果ですね。

まとめ

橋本病の診断には、自己抗体の抗甲状腺ペルオキシダーゼ抗体(TgAb)、あるいは抗サイログロブリン抗体(TgAb)のどちらか高値であることが診断の重要な根拠となります

いつも体がだるい、疲れやすいなどの症状があって、甲状腺の血液検査を受けたことがない方は、否定する意味でも一度血液検査を受けられてみてはいかがでしょうか。

不調の原因が、橋本病か、それ以外の原因かが簡単にわかります。

私は39歳の時に、初めて橋本病を患っていたことを知りました。

それまでの人生、いつもしんどくて、疲れやすくて、「なんで友達はみんな元気なのに私はこんなにしんどいんだろう」と思って生きていました。

あまりに倦怠感が強い時に、内科に行ったことが何度かありましたが、残念ながら甲状腺を疑って検査をしてくれる先生に出会えませんでした。

サラリーマンで、毎年会社の健康診断を受けていましたが、甲状腺の血液検査が必須項目ではないため検査をすることはありませんでした。

39歳の時に乳がんのエコー検査をした時、乳腺外科の先生がついでに甲状腺にエコーをあてて下さって甲状腺がんが見つかり、それを機に生まれて初めて甲状腺の血液検査をして橋本病を患っていたことを知りました。

橋本病はありふれた症状が多くて気付きにくいですが、血液検査を行うことで診断の手掛かりが得られます

私の体験をもとに、他の記事でも橋本病特有の症状や気づきにつながるサインなどを発信していきます。

私の体験が、どなたかの気づきや安心につながることを願っています。

【監修医師】
大塚 志郎 先生(日本産科婦人科学会 産婦人科専門医)
2002〜2025年3月
おおつかレディースクリニック 院長
2025年4月〜
早川クリニック非常勤医師

産婦人科診療の中でも、特に女性のホルモンバランスに関わる内分泌領域に精通。婦人科診療の傍ら、女性に罹患者が多い甲状腺疾患についても数多くの臨床経験を有し、婦人科と内科の両側面から女性の健康にアプローチしています。

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この記事を書いた人

製薬メーカーで約20年間、産婦人科領域の営業およびマーケティングに従事。
現在は、医療分野に特化したWebライターとして、特に産婦人科領域における記事制作やSNSコンテンツの企画・運用支援を行っています。
臨床現場や医療従事者の視点を踏まえ、信頼性の高い情報をわかりやすく発信することを大切にしています。

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